結論から言うと、トランプが勝つと思う。この予測を裏付ける情報や論理は。。。。
ここ一ヶ月 ①広告業界、②キャッチコピーテクニック、そして③SNSの仕組みを徹底的に調査した結果得た情報で、トランプ氏が勝つだろうという予測に到達しました。
当初の調査目的は、電通についてのドネーション式レッスンを実施する為に行い、アメリカ大統領選挙に関わるものではないと思っていたが、次第に関連性が鮮明に見えてきて、この記事を書きました。
特に注目すべき点はSNSの役目。
ネットの普及したデジタル時代ではSNSがニュースの最大の配信源となっている。しかし、SNSはGoogleや従来の新聞などと違い、ある機関のルールに基づいて報道が広まる訳ではなく、感染病のようにバイラル性がある。ユーザーの「いいね!」やシェアでニュース記事の是非が決まる。
つまり、『真実よりも意見が広まってしまう時代に僕らは至っている。』
実にイギリスのEU離脱問題でも真実よりも意見が世論を左右させたという説もあるし、個人的にはこの説は正しいと思う。
とはいい、これは決して「悪」ではなく、単純に人間という動物の群生と感情が働いているだけだと思う。
僕のドネーション式西洋文化レッスンの準備にあたり、①、②、③において次の調査をしました。
①広告業界の大変動
電通の社員が自殺、そして同社の過剰請求事件があったきっかけで、広告業界をもっとよく把握したいと思い、レッスンを準備しました。そこで非常に重要な点を探り出すことができた:
・広告代理店と出版・テレビ・メディア系会社には、新聞やテレビ放送などの「広告を載せれる商品」があるため、密接な繋がりがある。それは正しく読者(出版社のターゲット)とプロスペクト客(広告会社のターゲット)に向けて情報を同じ媒体で同時発信できるため、広告代理店と出版系の目的は共通していたのだ。
・ところがネット普及時代でこのビジネス環境に大変動が起きた。新聞社たちはローカル市場に向けて発信していたが、ネットによるデジタル時代では世界各国の新聞と競うことになった。競争率が上がれば、当然新聞社が稼げる広告代も下がる。ネットの広告は安い。更に、人々は新聞を買うのを次第に止め、パソコンやスマホでニュースを読むようになった(日本は当面、やや遅れている)。
・Adtechという、デジタルに特化した広告代理店が次々とできて、従来の広告とは異なり、クリックや閲覧数による今までに無い広告料金モデルが出来上がった。つまり、新聞社がネットに載せた記事は閲覧数・クリックがあることを証明できなければ広告料を稼げず、次々に淘汰されてしまう環境ができてしまった。そこで出版社たちが順応しようとして生んだ手口は:Clickbait。
②真実なんて、売れやしないんだ:Clickbait
ジャーナリズムというものは、「真実」を徹底的に追求し、その情報を世間に「報せる」という概念がある。New York Timesの様にブランド化することで、その出版社の信憑性と独立性を訴えかけ、世間から信頼されていた。
しかし、デジタルワールドだと「クリック」が出版社の生死を定める、容赦の無い世界。
出版系は真実よりもクリックを重要視しなければ、生き残れない。
Google 以前は「情報」というものは安易にアクセスできなかったため、新聞社たちにはしっかりとした参入障壁があった(毎朝仕事へ行く前に新聞が届けられて、その情報に人々は頼っていた)。だが、ネットでいつでも、どこでも、どんな情報も閲覧できるようになった消費者は初めて「情報ジャングル」へ解放された。
くどいようだが、新聞社がネットで広告料を稼ぐには、なんとしてでもユーザーに記事をクリックしてもらう必要がある。
そこでClickbait登場。Clickbait はユーザーがキャッチコピーにクリックするよう、心理学に基づいて「おとり」をヘッドラインにすること。つまり、キャッチコピーを「貴方の英語が一生上達しない5つの理由」、とか「この画像はいくらなんでも正当化できない」、などと、ちょっと情報が抜けたようなキャッチコピーを書くスタイル。人間は自然と不完全な情報が入ると、どうしても「かゆくなる」為、「何だろう?」と好奇心の痒みを掻くために、クリックしてしまう。
ちゃんとした新聞社たちが誇張と真実に欠けたキャッチコピーを書き始めた。
なぜなら、真実をそのまま報道しようとしても、誰もクリックしてくれない。
人がクリックする記事は一般的にお金の稼ぎ方やセレブ雑談、そして Kim Kardashian と Donald Trumpに関するもの。
Trump氏の最近のやらかしをClickbait のキャッチコピーで発信すれば、人はクリックする。新聞社はデジタル戦略で広告料を稼ぐことができる。そして、クリックや「いいね!」が記事のバイラル性(すなわち人気度)を左右させる。
だが、Clickbait は真実に基づくものでなく、誇張、噂話、扇情的なヘッドライン、更に記事を大量生産することで成り立つ。
このように集団的に偏った情報が広まることは集団になって動くような人間にとって危ういと思います。それは第二次世界大戦で重い代償を払って学んだはずの教訓。真実からかけ離れた噂や誇張が出回ると、正しい判断を取ることが極めて難しくなる。
特にこのような記事が受動的にFacebookフィードでニュースとして繰り返して流れると。
③脅威のFacebook「フィルターバブル」とは
人気記事とはバイラル性、つまり「いいね!」数が多いとか、やたらシェアされたり、閲覧されたものです。一度貴方が「いいね!」を押した記事は永久的にFacebookのアルゴリズムに記憶され、似たような記事がどんどん貴方に推奨されます。貴方の意見に反するような記事は貴方のタイムラインに提示されなくなります。
検索エンジンも同じですが、SNSには「個人フィルター」というものがかかっています。
これは何かというと、アルゴリズムによりユーザー(つまりこれを読んでいる貴方)の趣味や好みや特性を把握した上、検索結果、広告、タイムラインに掲載される記事・投稿を整理した上、個々のユーザーに提示する機能。一人一人のユーザーの特性は検索パターンや「いいね!」やシェアなどで把握できる。もちろん、クリックでも。
Google が普及した時代はこの様な技術はまだ取り入れられていなかったが、2009年以降Google で導入されるようになった。
一見、よりターゲットされた情報はありがたい事かもしれない。
情報が多すぎる21世紀では、情報を探すというよりも、提示してもらう(TaboolaとかOutbrainという会社が記事提示技術を先駆していて、日経新聞ともヤフーニュースとも契約をしている)。
時代の変遷により、我々のSNSの使い方とニュースの拡散方法が大きく変化する。
フィルターバブルとは、類似した趣味、傾向、特徴を持つ人たちがSNS上、類似した情報しか提示されなくなる現象。
つまり、Facebook ステータスでトランプ氏について書き込んだら、トランプの記事や関連広告が提示される。同じくクリントン氏について書き込めば、クリントン氏の情報が提示される。
「だからなんだよジュリアン?」という事ですが、この「フィルターバブル」により人々の意見はより
分極化してしまうという理論です。
Facebook は僕たちをより近づけるはずだったが、
Facebook は僕たちの距離を離すようにしている。
つまり、提示される情報が傾いて、偏っていると、相手側の意見が提示されなくなる脅威が「フィルターバブル」。トランプが好きなら、トランプの情報しか見えなくなる。クリントンが好きなら、クリントンの情報しか見えなくなる。
より詳しくフィルターバブル、そしてどうやってトランプ氏がフィルターバブルを活かして広報戦略を立てているかレッスンで説明したいと思います。11月8日高田馬場、19:45から。
さて、何故上記の理由でトランプ氏が勝つと思うかというと、トランプ氏のストーリーが圧倒的にネットで多いからです。また、フォロワー数も圧倒的にトランプ氏が多いです:
An important factor to consider is that Trump has a significantly larger Facebook fan base than Clinton – while the Republican boasts 11.8 million followers, the Democrat trails behind with a less humble 7.7 million followers. TheNextweb.com
New York Times でも同じ懸念が挙げられた。
トランプ氏ほど「Clickbait」の材料になるような発言をする候補なんていやしない。さらに、フィルター効果で僕のFacebook フィードは Donald Trump だらけ。貴方のFacebook も同じではないでしょうか?トランプ関連記事ばかりでは?
「トランプ氏を攻める記事が多いから、トランプ氏は負けるに違いない」
「あんな奴、みんな嫌いさ」
そう思って、彼を支持しないという方は多いかもしれない。
しかし、その反面を見ていただきたい。
これだけトランプ氏を嫌う人がいれば、彼に勝ってほしいけど、周りから叩かれるからFacebookで公にトランプ氏は支持できないという人は一体どれほどいるのだろうか。
すなわち、トランプ氏を非難する記事をクリックしているが、「いいね!」を押さなかった人は何人いるのだろうか。 その人たちは、果たしてトランプ氏を支持しているのだろうか?
統計に入っていない情報から推測することが、この大統領選挙ではできると思う。
投票用記入用紙ブースに入って、久々に真のプライバシーを手にした時、アメリカ人たちはトランプ氏を選ぶか、クリントン氏を選ぶかどちらになるかはまだ分からない。
だが運命はトランプ氏にあると思う。
注:僕はクリントンもトランプもサポートしていません。政治家は好きじゃありません
ジュリアン
Meetup Group: 『東京ドネーション式英語レッスン』
Twitter: https://twitter.com/TokyoDonations